神戸駅の地下街に突如出現する「一大卓球拠点」へ潜入！〜地下にある「メトロ卓球場」を君は知っているか〜【前編】

2020.11.26

神戸駅の地下街に突如出現する「一大卓球拠点」へ潜入！〜地下にある「メトロ卓球場」を君は知っているか〜【前編】

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神戸の見本みたいな港の写真を見たことがあると思う。赤いポートタワーにホテルオークラ。海辺の観覧車。JR神戸駅の改札を出て海側に10分ほど歩くと広がる、“ザ・神戸”の景色。
では同じく山側に10分歩いたところに「メトロこうべ」というディープな地下街があって、そこに卓球の一大拠点があるのをご存じだろうか……。

高速神戸駅と新開地駅をつなぐ700メートルの地下商店街「メトロこうべ」

メトロこうべは、JR神戸駅の山側にあって、神戸高速鉄道の「高速神戸駅」と「新開地駅」の間をつなぐ、歩いても10分ほど地下商店街。神戸の人なら知っている、ちょっとディープな街、新開地は神戸駅から歩いて行ける距離なのだ。

そこで今回、ディープな地下街の謎を探るべく、昭和46年開業という「メトロ卓球場」を目指して、新開地駅側から歩いてみることにした。

この緊張感はどこから来るのか…自分だけヨソモノ感がハンパない！

取材の当日の朝10時、新開地の改札を出た途端、歩きながらクリアアサヒを飲むスキンヘッドのおじさんに遭遇した。神戸駅の海側ではなかなか見られない光景だ。歩くこと数分、また別のクリアアサヒおじさんが登場！期待を裏切らない新開地！
ちょっとワクワクして、カバンからいそいそと一眼レフを出し首にかけようと思った瞬間、私は自分が若干緊張していることに気づいた。

今までに味わったことのある体感だ。それは外国で、その街がどれくらい危険かわからないことから来る緊張感と同じだった。たった３分の間に“クリアアサヒおじさん”二人とすれ違う街だ、一眼レフを首から提げて構えようものなら「ナニ撮っとんじゃい」といつ背後から声がかかってもおかしくない。それを想像しただけで、背中がうっすら汗ばんだ。

カメラを一旦しまって考えていると、遠くからピアノの音が聞こえてくる。CDかと思いきや生演奏っぽい。しかもメッチャ上手い！
メトロこうべにも最近よく見かける「街角ピアノ」が置いてあったのだ。

シュールな環境下での街角ピアニストとの出会い

“カメラどうするか問題”を忘れて、音のする方へ通路を歩いていくと、ベンチに座ってうたたね寝している人、なぜか上半身着替え中の人に囲まれて、女性がリストの曲を弾いていた。いろんな街角ピアノを見かけるけど、こんなにシュールな現場は無いんじゃないかと思う。
“この光景カメラに収めたい！しかしこの異国で一眼レフを構えるのはコワい！”そのハザマで揺れて、こっそりスマホで撮ることにした。しかもだいぶ遠くから笑（ビビりすぎ）。

演奏が終わるのを待って近づいて話を聞くと、息子さんを保育所に預けて買い物に行く途中で、週に１、2回はここで弾いているとのこと。ピアノを弾くために電車には乗らず、この地下通路を歩くらしい。そしてやっぱり音大卒だった！

「ココって他の街角ピアノと雰囲気違いますよね？」の問いには「逆に、“誰も聴いてない感”が良くて集中できるんです」と笑った。でもピアノ講師もしていた彼女のピアノは上等なBGMに違いない。みんなちゃんと聴いてるよ。

自分がさっき“クリアアサヒショック”を浴びた経験から、“怖い思いをしたことはないか”という意味で「声をかけられたこととかないですか？」と聞くと、病院通いのおばあちゃんに「『今日もあなたに会えたわ。いつもピアノ楽しみにしてるのよ』と言ってもらえて嬉しかったです」と。そして「新開地は人情味があってあったかい街ですよ」と話してくれた。……なんか、ええ話やった。

ワールドマスターズのHP内に載るかもしれないことを伝え、街角ピアニストと別れた私は、すっかり異国での恐怖心から立ち直って、一眼レフを首から提げることが出来た。目指すメトロ卓球場はもう目の前だ。